2021年コンテナ海運市況、依然混乱が続く[Shippio レポート]
先日のレポート『コロナで大混乱⁉ 2020年のコンテナ海運市況を振り返る』では、新型コロナウイルスの感染拡大が2020年のコンテナ海運市況に与えた影響を振り返りました。
旧正月を迎えた2021年2月現在、コンテナ不足や海上運賃の高騰によるサプライチェーンの混乱は依然として続いています。
アジア発米国向けのコンテナ輸送量は、2021年1月、単月で過去最高となる168万TEUを記録しました。これは前年同月比16%増で、8ヶ月連続で前年超えという数値です。
人の動きが制限され、物流だけがこんなにも活発化するという今日の状況を、1年前には一体誰が想像しえたでしょうか。
米国西岸で長引く沖待ち。クラスター発生も
また、増え続ける貨物に対し、各国の港湾オペレーションは昨年よりさらに厳しい状況に置かれています。
米国西岸の海の玄関、ロサンゼルス・ロングビーチ両港では、年明け以降、30隻以上のコンテナ船の沖待ちが常態化。2月1日にはその数がついに40隻を超えました。
両港における平均停泊日数は、沖待ち期間も含め14日間となり、中には太平洋横断に費やす日数より長く停泊している船もあるといいます。
さらに両港では、1月中旬に新型コロナウイルスのクラスターが発生。1月25日時点で計803人の港湾労働者が陽性と判断され、人員不足による荷役効率の低下に拍車をかけています。両港の感染率は州の平均より高く、一刻も早いワクチン接種が急がれます。
人員不足、荷役増加による港湾混雑は北米西岸全域に広がっており、カナダ・バンクーバー港でも2月に入り、8日~15日の沖待ちが発生しています。
また、アジアの主要なハブ港でも、1月、シンガポールで4〜5日、マレーシアで3〜4日などの沖待ちが見られました。
スケジュール順守率は過去最低に
長引くコンテナ船の停泊日数は、当然スケジュールに影響します。
コペンハーゲンを拠点とするシーインテリジェンス社は、先日、世界主要34航路におけるコンテナ船のスケジュール順守率が昨年8月より5ヶ月連続で悪化し、12月には44.6%を記録したと発表しました。これは、前年同月比マイナス31.7ポイントで、2011年の調査開始以来、最低数値とのこと。いまや、海上貨物が期日通りに届く方がまれという状況なのです。
また、コンテナや船舶が戻らず、予備の船舶も切らしているため、貨物需要の増加にも関わらず船会社が泣く泣くブランクセーリング(減便)を実施するという事態も発生しています。
コンテナ船運賃も高騰を続けています。
例年、今の時期は、船会社と荷主とのあいだで新年度に向けた長期契約の運賃交渉が行われますが、今年は相場の見通しが立たず、交渉の難航、長期化が予想されています。
まだまだ先の見えない海運市況ですが、我々も市況の動向に注視しつつ、引き続き皆様にレポートしてまいります。
国際輸送に関するご相談・お見積りのご依頼などは、ぜひShippioまでお気軽にお問い合わせください。
Reference
海上コンテナ輸送量/アジア発米国向けが1月で過去最多に
(LNEWS、2021年2月15日)
Asia-to-US Container Exports Spike 16.8% in Jan.
(JIFFA、2021年2月15日)l
New video shows massive scope of California box-ship traffic jam
(American Shipper、2021年2月11日)
Trans-Pacific trade crashes into max-capacity ceiling
(American Shipper、2021年1月27日)
コンテナ船社、定時順守率44%まで悪化。シーインテル調査、過去最低の数字
(日本海事新聞、2021年2月3日)
北米混雑 バンクーバーでも滞船、最大15日待ち 西岸全域に広がる
(Daily Cargo電子版、2021年2月16日)
コンテナ運賃、日本発交渉 例年より遅れ。相場観に隔たり。契約 多様化か
(日本海事新聞、2021年2月17日)
Carriers still in control but momentum slipping slightly
(FREIGHT WAVES、2021年2月12日)